手帳の湖

手帳にまつわる自省録

自省録と手帳

自省録(Τὰ εἰς ἑαυτόν,Ta eis heauton,MEDITATIONS)をご存じだろうか。

ご存知か、という書き出しもなかなか失礼かもしれないが、ローマ皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌスが書き連ねた、かの有名な忘備録のことだ。もともと出版を目的としていない日記・散文みたいなものなので、自分自身に向けられたメモのオンパレード。内容に一貫性もなく、自省のための日々の出来事や思いを書き留めたものである。

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死生観や困難に直面したときにどう立ち向かっていくかなどの内容、色々と名言なども多く未読の方へはおすすめの名著だ。(超訳版もあるみたい。)僕はこれを愛読しているのだけれど、マルクス・アウレリウスの自省のスタンスが好きで、このブログのサブタイトル的なところにも”手帳に関する自省録”と書いている。このブログは自省のためのブログなのだが、(公開ブログなのである程度人に見られる前提)手帳そのものも自省のためのものだと思っている。

僕の手帳に対するスタンスはスタンダードに”スケジュールとメモ帳として活用する”なのだが、メモ帳の部分に日記というか散文的なものを書き込んでいる。これはもちろん人に見せるためのものではなく、身の回りの出来事を振り返り、また自身の内面と向き合う自省的な記録だ。マルクス・アウレリウスの真似なのだが、平穏な精神を保つのに役立っている。写真や文面を紹介することは差し控えるが(まぁ恥ずかしいので)、子供の成長ぶりを喜んだり、仕事のあれこれを自分に相談したり、手帳のことについてあれこれ書いたりしている。(手帳に手帳のことを書くというのもなかなかシュールだ)他の誰に向けるでもなく自分自身に向けて書いている。こう書くとずいぶんかっこよく聞こえるかもしれないし実際かっこつけて書いているのだが、単純に自分メモを書き殴っているだけとも言える。書くと心が落ち着く。後で読み返すというよりも書いているそのときに心が落ち着くようにするために行っている。瞑想的なもの?といえるのかな?あまりスピリチュアルな世界はわからないが、自分と向き合う時間を大切にするのはいいことだと思っている。

手帳時間や手帳タイム、といって手帳を嗜む時間を楽しんでいる方は、自分自身と向き合う時間を大切にされているのだと思う。僕も同じく、常に手元に手帳を携えつつ、1日のうちどこかので手帳に向かう時間を持っている。だいたい朝の仕事前か夜眠る前、週末の手帳を手入れする(革を磨く)時間。

手帳は自省のための道具だ。